ご家族、恋人、ご親戚、ご友人などが警察の取り調べを受けたり、逮捕されてしまった方へ
このページをご覧になっている方は、大切なご家族、恋人、ご親戚、ご友人などが警察から取り調べを受けたり、または逮捕されてしまい、弁護士をお探しになっている方ではないかと思います。
そのような状況の場合には、刑事事件がどのような流れで進むのか、そして、その流れの中で弁護士はどのような事を行ってくれるのか、また、どのような観点で弁護士を選ぶべきなのか、を理解することが重要になります。
以下で、詳しく説明いたします。
(以下、刑事弁護では、依頼を受けた弁護士のことを「弁護人」と呼ぶため、「弁護士」の他に「弁護人」という表現を使うこともありますが、意味は同じです。)
■刑事事件の流れ
まず、刑事事件がどのような流れで進むのかについて、説明いたします。
刑事事件は、起訴される前の段階と、起訴された後の段階とに、大きく分かれますので、その2つの段階に分けて説明いたします。
起訴されるまでの手続
起訴されるまでの手続は、逮捕などの身柄拘束を伴う場合と、身柄拘束を伴わない場合の両方の場合があります。
また、警察から事件について呼び出しを受け、身柄拘束のない状態で、任意で事情聴取に応じていたところ、後から逮捕などの身柄拘束を受ける場合もあります。
起訴されるまでの段階では、犯罪を犯したと疑われる人のことを「被疑者」と呼びます。
起訴されるまでの手続は、大きくいいますと、以下の流れになります。
「逮捕」→「勾留」→「起訴・不起訴の決定」
1.逮捕
上で書きましたとおり、全く身柄の拘束を伴わないで起訴か不起訴かの処分が決定される場合もありますが、弁護士に依頼することを考えるようなケースは、通常、いきなり逮捕されたり、または一旦任意で事情聴取に応じた後で逮捕される場合だと思います。
法律上、逮捕には、通常逮捕、緊急逮捕、現行犯逮捕の3つに分かれます。
通常逮捕の場合には、令状を被疑者に示して逮捕する必要があるのに対し、緊急逮捕の場合には、逮捕の際には令状を示す必要はありませんが、逮捕後、警察等は令状を準備する必要があります。
現行犯逮捕の場合には、逮捕時に令状を示す必要はなく、また、逮捕後に警察が令状を準備する必要もありません。
逮捕された場合には、警察において最大48時間、検察において最大24時間、合計で最大72時間の間、逮捕としての身柄拘束が続くことになります。
2.勾留
検察官は、警察から身柄を受け取ってから24時間以内(当初の逮捕からは、72時間以内)に、裁判官に対して、逮捕に続く身柄拘束を行うよう請求します。
この身柄拘束を、法律上、「勾留」(こうりゅう)と言います。
勾留は、まず10日間行われ、続けて最大で10日間延長されます。したがって、勾留は、(一部の特殊な犯罪を除き)合計で最大20日間続く可能性があります。
もちろん、それ以前に、検察官において取り調べが終了し、不起訴とする判断ができる状況になった場合には、早期に被疑者が釈放される場合もあります。
3.起訴か不起訴かの処分の決定
検察官は、以上に述べた逮捕・勾留の期間内に、事件を裁判所に起訴するか、または不起訴とするか、を決定します。
不起訴の処分には、主に、嫌疑不十分(または嫌疑なし)を理由とする場合と、起訴猶予(嫌疑は十分にあるものの、諸般の事情を考慮し、起訴をする必要はないと判断した場合)による場合があります。どちらの場合も、それまで身柄拘束されていたときには釈放される点では同じです。
検察官により事件が起訴された場合には、以下に述べる保釈が認められない限り、引き続き身柄拘束が続くことになります。ただし、罰金刑で済むような起訴の場合(略式起訴といいます)には、罰金を支払った上で釈放されます。
行った犯罪が複数ある場合には、そのうちの一部のみまず起訴され、その後、残りの犯罪事実について起訴される(追起訴(ついきそ)といいます)、という方法が採られることもあります。
起訴された後の手続
検察官による起訴の後は、裁判所での公判の手続に移ります。
なお、起訴された後は、被疑者は法律上「被告人」という言い方に変わります。
刑事裁判の第1回の公判期日は、起訴の日から大体1ヶ月半~2ヶ月後に開かれます。
公判期日は、テレビの法廷ドラマで見る刑事裁判と、同じようにイメージして頂いて結構です(昔と異なり、最近の法廷ドラマは、弁護士が中味に誤りがないかチェック・指導していることが多く、実際の裁判とかなり近い正確なものになっています)。
すなわち、公判期日は、原則として裁判所の公開の法廷で、裁判官(1人の場合と3人の場合があります)、検察官、被告人、弁護人(弁護士)、裁判所のその他の職員(書記官、廷吏など)、傍聴席の傍聴者、の下で、裁判が進められます。
刑事裁判の手続は、以下の流れに沿って行われます。以下は、原則として、被告人が犯罪事実を認める場合の手続の流れです。
「冒頭手続」→「証拠調べ手続」→「最終の意見陳述」→「判決言い渡し」
1.冒頭手続
まず、第1回公判期日が開始されると、以下の手続が行われます。
① 被告人が本当に人違いでないか、裁判官が被告人に対し、氏名、生年月日、職業などを直接尋ねて確認します。
② 検察官が、起訴状を朗読します。
③ 裁判官が被告人に対し、黙秘権があることなどを告知します。
④ 被告人及び弁護人のそれぞれが、犯罪事実について意見を述べます(罪状認否)。たとえば、被告人は、起訴状で朗読された犯罪事実を認める場合には、「起訴状記載の事実は、間違いありません。」などと述べることになります。
2.証拠調べ手続
1の冒頭手続が終わると、次は、検察官が起訴した犯罪事実が証拠に基づいて認定できるか、また、有罪と認定できる場合でも、被告人に対する量刑を決定する上でどのような事実があり、またそれについてどのような証拠があるかを審理する手続に移ります。
① 検察官の冒頭陳述…検察官が、自らが考える犯罪事実に関するストーリーを述べる手続です。
この後、被告人が犯罪事実を認める事件の場合には通常は行われませんが、犯罪事実を否認する事件の場合には、弁護人による冒頭陳述が行われることがあります。
② 証拠調べ
・検察官が証拠調べ請求をした証拠の取り調べ
・弁護人が証拠調べ請求をした証拠の取り調べ…書面による証拠(例えば、示談書など)の他に、情状証人の承認尋問や、被告人質問が行われます。
3 最終の意見陳述
2の手続が終わると、検察官、弁護人、被告人それぞれが最終の意見を述べます(以下の①・②・③)。これらが全て終わると、結審(審理終了)となり、後は判決言い渡しを残すだけとなります。
① 検察官による論告及び求刑
② 弁護人による最終弁論
③ 被告人の意見陳述…裁判所から被告人に対し、審理の最後に何か発言することがあるかと聞かれますので、発言したい場合にはここで被告人自らの意見を述べることができます。
4 判決言い渡し
比較的審理が簡易な事件の場合には、3の後直ちに裁判官から判決の言い渡しがなされます。 そうでない場合には、約1週間後に第2回公判期日が設けられ、そこで判決言い渡しがなされます。
判決に不服の場合には、判決言い渡しから14日以内であれば、控訴することができます。
■刑事事件における弁護士の活動・当事務所の弁護士の活動
刑事事件においては、当事務所の弁護士は、以下のような活動をします。
以下を見て頂ければおわかりのとおり、刑事事件では、できるだけ早期に弁護人を依頼することが決定的に重要であると言えます。
1 起訴前の活動
(1) まず、逮捕された直後に、ご家族等から弁護の依頼を受けた場合には、可能な限り直ちに身柄を拘束されている警察署に行き、被疑者と面会(接見(せっけん)といいます)を行い、事実関係や弁護方針について打ち合わせをします。
この接見における打ち合わせは、非常に重要であり、できるだけ早く行う必要があります。
何故なら、通常の被疑者は、逮捕された場合には精神的にパニックになっている場合があり、警察での取り調べに対し、冷静さを失って的確な回答をすることができず、その結果、被疑者にとって後々非常に不利な状況に追い込まれてしまうことがあるからです。
したがって、逮捕直後に弁護士が被疑者とあって打ち合わせをすることは、被疑者が心理的に安心するため、また、被疑者にとって少しでも有利な結論を導くために必要不可欠なことなのです。
また、逮捕された直後は、たとえご家族であっても、被疑者と会うことが禁止されたり(接見禁止)、また仮に会えたとしても、会う時間帯は制限されてしまうことも少なくありません。
他方、弁護人は、被疑者と会うことについて警察から制限されることは原則としてありませんので、夜間や土日に被疑者と会って打ち合わせをするすることができます。この点でも、逮捕されたらできるだけ早く弁護人に依頼することが、プラスに働くことになります。
(2) また、被害者との示談交渉も重要になります。
被害者と示談が成立し、示談書を取り交わせば、そうした事実は、検察官が事件を不起訴にするための非常に有力な事情になります。
また、仮に起訴されてしまった場合でも、示談の事実は、裁判において量刑上、被告人に非常に有利な事情として、裁判官は考慮してくれます。
この示談交渉は、被疑者の家族や被疑者本人が直接被害者と行うことは非常に困難であり、実際上は不可能と言ってもいいでしょう。被害者は通常、被疑者と再度接触することを極度に嫌がるのが通常だからです。
他方、弁護人とであれば、交渉に応じてくれることがありますので、この点でも、弁護人に事件を早期に依頼することが重要と言えるでしょう。
もっとも、犯罪の種類(例えば、わいせつ関係の犯罪)や被害者の被害感情が厳しい場合には、示談が結果的にできない場合も、実際上は少なくありません。
しかし、その場合でも、示談に向けた努力や誠意を示した、という事実自体が、検察官による起訴・不起訴の判断や、その後の裁判における裁判官の量刑判断に影響を及ぼしますので、その点でも、示談に向けた努力を弁護人を通じて行うことは意味のあることと言えます。
(3) その他、身柄拘束中であれば、弁護人は、検察官に対し、勾留延長請求をしないように働きかけたり、不起訴処分にするよう検察官と交渉したりすることができます。
2.起訴後の活動
(1) 起訴後になお身柄が拘束されている場合には、裁判所に対し、保釈を請求します。タイミング等は、事件の内容を踏まえて決定します。
(2) 示談が未成立の場合には、被害者との示談交渉を行います。
(3) 被告人と接見を十分に行い、裁判期日における公判活動の打ち合わせ・方針確認を行います。また、公判期日に被告人自身の尋問を行いますので、尋問内容についても打ち合わせをします。
(4) 公判では、情状証人と言って、被告人のご家族など、被告人と密接な関係を持ち、被告人を今後適切に監督することが期待できる人間が法廷で証言することが、被告人に有利な判決を導く上で非常に重要になります。
したがって、被告人やご家族と打ち合わせた上で、どなたに情状証人になってもらうかを決定した上で、その情状証人と十分な打ち合わせを行い、証人尋問の準備をします。
(5) 裁判の期日(公判期日)には、被告人に有利な判決を裁判官に下してもらうために、弁護人は全力を尽くします。具体的には、検察官の主張や証拠に不当な点があればこれを争い、また、弁護人側から被告人に有利となる書証(書面上の証拠)を提出し、情状証人、被告人質問を行って、被告人に有利な結論を導く事情を裁判官に最大限アピールします。
■当事務所が事件処理にあたって心がけていること
1 以上のように、刑事事件において弁護士が行う活動についてまとめましたが、これらの活動内容は、原則として、必ず被疑者(時にはご家族)の確認・了解を得てから行うものとし、被疑者の確認・了解なくして勝手に行うことはありません(被疑者の承認を得ないで何らかの活動を行う場合でも、「承認を得ずに弁護士が裁量で行うこと」についての了解を事前に得るようにしています)。
(これは当たり前のことのように思われるかもしれませんが、意外とこんな当たり前のことができない弁護士が一定数いるのです。)
2 そして、1で書いた個々の活動の結果は、できるだけ早く被疑者本人に報告することを心がけています。
(これもできない弁護士が一定数います。被疑者やご家族に状況を報告せず、勝手に手続をどんどん進めてしまうのですね。当事務所の弁護士は、このようなことはありえません。)
3 1・2の他にも、常に、被疑者・被告人またはご家族と弁護士は密にコミュニケーションを取り、お問い合わせにも迅速に対応いたします。
当事務所は、月曜から木曜は夜9時まで電話を受け付けており、また、緊急性が高い場合には、夜間や休日の対応も可能となっております。
■ご相談について
まずはお気軽に、お電話または当ホームページの「お問い合わせ」フォームを使って、当事務所にご連絡下さい。
事務所にお越し頂き、簡単なご相談をするだけでも構いません(その場合は、料金は所定の相談料のみとなります)。
正式にご依頼するかどうかは、事務所での最初のご相談の際に決めなくても結構です。一度持ち帰り検討してから正式依頼をして頂いて、もちろん構いませんので、ご安心下さい。